英ARMと台湾UMC、65nmテクノロジー向けの包括的なSOIソリューションで提携
UMCとARM、65nmテクノロジー向けの包括的なSOIソリューションで提携
UMCの65nm SOIプロセスでARM SOIライブラリを使用したテストチップのテープアウトに成功
英ARM社(本社:英国ケンブリッジ、日本法人:横浜市港北区、代表取締役社長:西嶋貴史、以下ARM)とユナイテッド・マイクロエレクトロ二クス・コーポレーション(本社:台湾、CEO、ジャクソン・フー、以下UMC)は、UMCの65ナノメートル(nm)SOIプロセスでARM(r) SOI(シリコン・オン・インシュレータ)ライブラリを組み込んだテストチップのテープアウトに成功したと発表しました。このテストチップは、スタンダードセル・ライブラリ、I/Oライブラリ、シングルポートSRAMメモリコンパイラを使用したARMフィジカルIP群で構成されます。UMCでのテープアウトは、複雑なシステム・オン・チップ(SoC)の速度と消費電力を改善するナノメートルSOIテクノロジーの主流化に向けた前進を示しています。
米Semico Research社は、半導体チップの性能がバルクCMOSのレベルを引き上げていると認識しています。同社の社長であるJim Feldhan氏は、次のように述べています。「高性能チップは、SOIの最善の将来性を約束するものです。今や携帯機器は、SOIテクノロジーにより実現できる優れた速度と消費電力を活用する高性能なオーディオ/ビデオプラットフォームへと急速に進化しつつあります。同様に高性能なコンピューティング、通信、ネットワークアプリケーションも、今後数年でSOIテクノロジーの最適な対象となるでしょう。当社は、65、45nmのSOIに投資する企業が、32nmの市場でも成功する可能性が高いと考えています。ARMとUMCのSOIへの進出は重要な前進です。これは、台湾のファウンドリのSOIテクノロジーに対する本格的な取り組みを示すものであり、ファブレス半導体企業や統合デバイスメーカ(IDM)にとって市場での選択肢を増やすことになるからです。」
UMCは長年、SOIテクノロジーを開発してきましたが、今回の取り組みは2006年1月、仏SOISIC社との提携から始まりました。ARMは、2006年10月、SOITECとの提携およびSOISIC社の買収後にこの提携を引き継ぎ、バルクCMOSプロセス向けの充実したフィジカルIP製品群と並んでSOIライブラリの提供を始めました。UMCが既存の65nmのバルクCMOS「L65SP」のSOIバージョンを開発するのを助け、ARMは、デザインルール、デバイスの電気的キャラクタリゼーション、回路シミュレーションのためのモデリングを含め、プロセスの開発とクオリフィケーションに必要なモジュールを提供しました。こうして生まれたL65SOIプロセスは、公称1Vのマルチ閾値型薄ゲート酸化膜トランジスタ、I/O用の公称2.5Vの厚ゲート酸化膜トランジスタ、公称1Vの0.62平方ミクロン6トランジスタ型SRAMビットセルに対応しています。現在、完全なプロセス・デザイン・キットを準備し、顧客対応が可能です。
UMCのコーポレートマーケティング担当副社長であるLee Chung氏は、次のように述べています。「当社は、このパートナーシップの成果を非常にうれしく思っています。おかげで当社は、ファウンドリとして初めて、総合的な65nm SOIソリューションを開発し、提供することができました。当社は、設計サポート側からのSOIにおけるARMの優れた専門知識、そして当社の量産型65nmプロセスを生かし、このSOIプロセスを短期間で開発、市場化することができました。この魅力的な技術をファウンドリのお客様に提供することを楽しみにしています。」
このテストチップに採用されているARMのスタンダードセルはマルチVt、マルチ電源の設計に対応し、入出力は3.3Vの信号を許容、メモリコンパイラは高速と低消費電力に最適化されています。初期回路解析では、65nmのバルクCMOSで同じ性能に達するよう生産された部品に比べ、設計の面積が20%、消費電力が30%縮小されています。SOIテクノロジーは、バルクCMOSに比べ、消費電力を10%削減しつつ最大28%の速度向上も実現します。
ARMのフィジカルIPマーケティング担当副社長であるTom Lantzschは、次のように述べています。「現在の市場には、SOIテクノロジーの提供する性能に対してIDMからの強い需要があります。当社は、UMCを通じて提供されるこの新しいプロセスにより、大手ファブレス半導体設計企業がSOIテクノロジーを評価し、試験プロジェクトを開始することを期待しています。次の段階は、製品群を増やし、さらに高度なプロセスノードに対応し、バルクCMOSにおける製品群と同じ完全なファウンドリプログラムを導入することです。」
■UMC社概要
UMCは半導体業界の主要製品を網羅するあらゆるアプリケーション向けに最先端プロセスICを製造する、世界的なリーディング半導体ファウンドリです。UMCは90nm銅配線、0.13um銅配線、ミックスシグナル/RFCMOSなど、高性能システム・オン・チップ(SoC)設計を可能にする先進的なファウンドリ技術を提供します。また、300mmウェハ製造におけるリーダーでもあり、台湾のFab 12AとシンガポールにあるFab 12iでは、さまざまなカスタマー製品を量産しています。世界中で約13,000名以上の従業員を抱え、台湾、日本、シンガポール、ヨーロッパ、米国にオフィスを構えています。UMCの詳細情報については、Webサイトをご覧ください。(http://www.umc.com)
■ARM社概要
ARMは、ワイヤレス、ネットワーク、デジタル家電、イメージング、自動車、セキュリティ、そしてストレージ機器といった高度なデジタル製品のコアとなる技術をデザインしています。ARMが提供する総合的な製品・IP(知的財産)には、16/32 ビット組込みRISC マイクロプロセッサ、データエンジン、グラフィック プロセッサ、デジタルライブラリ、組み込みメモリ、ペリフェラル、ソフトウェア、開発ツールならびにアナログ機能や高速インタフェース製品が含まれます。ARM は、ARMの幅広いパートナーコミュニティと共に、信頼性の高い製品を迅速に市場へ投入するためのトータルシステムソリューションを、大手エレクトロニクス企業に提供しています。ARMについて詳しくは当社Webサイトをご覧ください。(http://www.jp.arm.com/)
※ARMはARM社の登録商標です。その他のブランドあるいは製品名は全て、それぞれのホールダーの所有物です。「ARM」とは、ARM Holdings plc、その事業会社であるARM Limited、各地域の子会社であるARM INC.、ARM KK、ARM Korea Ltd.、ARM Taiwan、ARM France SAS、ARM Consulting (Shanghai) Co.Ltd.、ARM Belgium N.V.、AXYS Design Automation Inc、AXYS GmbH、ARM Embedded Solutions Pvt.Ltd.、ARM Physical IP,Inc.およびARM Norway,ASの全部または一部を意味します。