米IBM、コミュニティー主導の新開発ビジョンと新ソフトウエア製品群を発表
IBM、コミュニティー主導の新開発ビジョンと新ソフトウェア製品群を発表
[米国ニューヨーク州アーモンク 2007年6月11日(現地時間)発]
IBM(本社:米国ニューヨーク州アーモンク、会長:サミュエル・J・パルミサーノ、NYSE:IBM)は11日(現地時間)、コミュニティー主導型の開発ビジョンを公表するとともに、ソフトウェア・デリバリー・プロジェクトにおける透明性、ビジネス・インテリジェンス、協業を推進する新ソフトウェアを発表しました。米国フロリダ州オーランドにて開催中のイベント「IBM Rational Software Development Conference 2007」で発表されたこのロードマップは、地理的・組織的に分散した開発チームがリアルタイムに連携して業務を進めることを支援する、IBMのソフトウェア開発製品群を軸としています。
ソフトウェア開発およびデリバリーは、これまで長年にわたって、自社社員のスキルおよび開発者の生産性を向上させるためのソフトウェア開発ツールに制限された、閉鎖的なプロセスでした。しかし今日では、さまざまなロケーションにおけるオフショア・チーム(海外委託開発チーム)やビジネス・パートナーが実際のソフトウェア開発を行うという複雑な状況になってきています。そして、こういった地理的/組織的な境界を越えて広がるプロジェクトを管理することは、ソフトウェア・デリバリーにおける最大の課題の一つとなりつつあります。さらに、日々高度化するビジネス要件に迅速に対応できるようなプロジェクト・チームをつくることが、企業には求められています。IBMは、オープンで透明性の高いアプローチを通じて、企業が自社のソフトウェア資産から効果的な情報を取り出し、グローバル規模のプロジェクトの効率性と洞察力を向上することを支援します。
今回IBMは、地理的に分散した開発チームが、より効率的に連携し、グローバル・ソフトウェア・デリバリーの総コストを低減させ、かつてないスピードで新しいソフトウェアを市場に送り出すことを支援する新製品群を発表しました。Web技術を活用することで帯域幅をあまり消費しないこの新しいソフトウェアを使うことによって、企業は、クライアント技術を導入する際の経費を削減することができます。新製品群の詳細は以下のとおりです。
○IBM(R) Rational(R) Team Concert ベータ版1
Jazz TM テクノロジー・プラットフォームで開発された初のオファリングである「IBM Rational Team Concert」は、ソフトウェア・デリバリーチーム内のリアルタイム連携を実現させることでチーム全体の生産性を向上させる、「チーム協調型ポータル」です。この新しいソフトウェアは中/大規模企業におけるアジャイル開発手法(変化に対して俊敏に対応できる開発手法)に最適化されており、IBMRationalの変更管理/リリース管理ソリューションである「Rational ClearCase(R)」と「ClearQuest(R)」を拡張させることができます。今後は、「IBM Rational Team Concert」新製品群を提供するとともに、既存のIBM製品との連携/拡張を予定しています。これによって「IBM Rational Software Delivery Platform」との連携がさらに推進されます。
○IBM Rational Asset Manager 7.0
2007年6月29日に出荷開始されるこのソフトウェアは、ソフトウェア成果物に対してインテリジェンス情報を可視的に提供し、これらの資産が協調環境でどのように利用されているかを示します。「IBM Rational Asset Manager」はプログラム・コード、パターン、テストをはじめとする設計、開発、導入に関連した資産のレジストリー(記録簿)です。開発コスト/時間の短縮、共通点のないグローバル・チーム内での安全なコミュニケーション、資産のトレーサビリティーと利用度モニタリングによる手戻りの回避、およびサービス・デリバリーの迅速化を可能にします。
○IBM Rational ClearCase 7.01
開発者の生産性とセキュリティーの向上を支援する製品の新版です。ソフト開発の際に必要な資産を管理しコントロールする「Rational ClearCase」によって、ユーザーはユーザーの拠点に基づいてデータを隔離できるようになります。たとえば一部の国では、ユーザーが特定のコードを取り扱うことができないという輸出管理令が存在します。自社の開発チームの他に、アウトソーシング・チームをもっているユーザー企業は、この新製品を利用することにより、データを安全に隔離できるようになるので、直接目の届かない遠隔地にいるチーム・メンバーの資産へのアクセス状況も保護されます。このように、「IBM Rational ClearCase 7.01」は、グローバル規模のプロジェクトに取り組むお客様が、細心の注意を要する状況をモニターできるようにするものです。
○IBM Rational Portfolio Manager 7.1
プロジェクト/ポートフォリオを管理する製品です。今回、Ajaxベースの新たなWebインタフェースになったことで、ユーザー企業のチーム・メンバーは、より効率的に業務を管理したり、時間/経費レポートを提出できるようになります。
世界中で61カ所の拠点に2万2,000人以上のソフトウェア開発者を抱えるIBMは、グローバル開発がいかに困難かということを実体験として理解しています。インド・バンガロールおよび米マサチューセッツ州・レキシントンのIBM研究所の開発チームは、これまで培ってきた経験を結集して「Global Development and Delivery- based on the experiences of the Rational India Lab(Rationalインド研究所での経験に基づいた、グローバル開発とデリバリー)」と題した手引きを刊行しました。この手引きでは、地理的に分散した開発環境に共通する課題が挙げられています。そして、こうした課題を解決するために、IBMがニーズに合わせてRationalツールを手直しした手順を、実際の事例研究を挙げて紹介しています。さらにIBMは、「IBM Rational Method Composer 7.2」向けに、地理的に分散した開発に重点を置くプラグインを作成しました。「IBM Rational Method Composer」は現在、世界中の1,300以上の組織で採用されています。
・コラボレーションが推進するコミュニティー主導の開発
「Jazzプロジェクト」は、チームの俊敏性と協調を向上させるためのオープンな商用コミュニティーです。IBMは11日、同プロジェクトへのアクセスを提供するサイトを開設しました( http://www.Jazz.net )。ユーザーは、このサイト上で、地理的な距離や組織の違いを意識することなく、IBMやその他の人々とコラボレーションしたり、要件に対する情報を提供したり、バグの報告をしたりすることができます。そして最終的にはIBMのソフトウェア・デリバリー・プラットフォームの開発にも貢献することができるようになります。ソフトウェアの透過的なサプライチェーンであるソフトウェア開発コミュニティーとして開設されたJazz.netにより、今後IBMソフトウェア製品に盛り込まれることになる標準/共通コンポーネントの発展が促進されます。
IBM Rational Softwareのゼネラル・マネジャーであるダニー・サバー博士(Danny Sabbah)は次のように述べています。「ソフトウェアのオープンな商用開発は、コラボレーティブ・エンジニアリングにおける次なる一大イノベーションです。IBMはソフトウェア開発を新たな段階に高めつつあり、お客様はJazz.netコミュニティーへの参加により、自社のソフトウェア・デリバリー製品により良い影響を与えることができます。」
Jazz.net上でのコラボレーティブ(協調的)な開発プロセスを活性化させるため、IBMはコード分析や要件管理に重点を置いた数件の成長促進プロジェクトを設置しました。IBMは、多くのソフトウェア開発コミュニティーがこうしたプロジェクトに参加し、Rational Team Concertベータ版を使って連携を推進していくように働きかけていきます。
以上
当報道資料は2007年6月11日(現地時間)にIBM Corporationが発表したものの抄訳です。原文は http://www.ibm.com/press/us/en/pressrelease/21687.wss を参照ください。
IBM、ClearCase、ClearQuest、Jazz、Rationalは、IBM Corporationの商標または登録商標です。
その他のIBMの商標についてのリストは、 http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml をご覧ください。