天龍製鋸グループ、2008年3月期から5年間の中期事業計画を策定
天龍製鋸グループの中期事業計画について
天龍製鋸グループでは天龍製鋸株式会社、天龍製鋸(中国)有限公司、Tenryu America,Inc.を対象として、2008年3月期から2012年3月期までの5年間の中期事業計画(以下、「本事業計画」)を策定いたしました。
1.策定の背景
近年原材料価格の高騰、為替リスクの増大に始まり、電動工具用鋸・刃物では新興国の廉価品の国際市場浸透や、高付加価値製品にも内外の競合が参入するなど、経営環境は急速に変化しています。
電動工具用鋸・刃物では国内や欧米などの成熟市場で、ユーザーニーズが多様化し、新たな商品を希求する需要が旺盛になり、当社の開発技術とブランドへの信頼に寄せる期待が増加しています。また、産業用鋸ではBRICs に代表される新興国の発展が急速で、工業先進国である日本の独創的な切断技術がこのエリアでも必要不可欠となっており、高付加価値商品の伸長が期待できます。
上記のような経営環境の変化とチャンスを的確に捉え、当社の確実な成長を実現するための基軸として、本事業計画を策定いたしました。
2.当社の目指す事業理念
当社は、わが国の鋸刃物業界のパイオニアとして、明治43年創業以来、一貫して総合鋸メーカーを目指し、国内はもとより広く海外のマーケットに事業を展開してまいりました。
また、社是である「誠実と和」をもって、全社一丸となり、「我々は、事業を通して顧客に奉仕し、その代償として適切な利潤を得て、株主に適切な配当を行い、社員の福祉向上を図り、事業の成長と安定に全力を尽くし、以って社会に奉仕する」の精神のもと総力を結集し、社業発展に邁進しております。
伝統の「天龍ブランド」は製品の優秀性により、顧客から高い評価と信頼を頂いております。今後も品質向上に努め、市場への供給責任の重要性を自覚し、その期待に応えるべく全員の英知を結集することで、変化する市場環境に対応できる企業体質の向上に努め、魅力ある企業に発展させることを基本方針としております。
3.成長市場の分析と市場に対応する当社製品群
<電動工具用鋸・刃物>
電動工具は、最も軽量かつ操作が簡単で、安価な産業機械ともいえます。アフリカの奥地でも、先進国のビル建設や住宅建設でも、人の手を必要とする内装工事を始めとする現場工事には無くてはならない工具です。天龍製鋸はこの電動工具を製造する会社から深い信頼を得て半世紀になります。一方、新興国の競合他社が廉価品でこの市場に参入してきましたが、コスト低減と量産を目的に、いちはやく天龍製鋸(中国)有限公司を1994年に設立・運営することで対応しました。また、当社は産業用鋸の開発技術と製造技術が、電動工具用鋸の新製品開発に反映する事業構造を構築し、如何なる市場の変化にも対応してきました。
ガーデンツール市場に電動工具メーカーが参入する市場変化に対して、当社の刃物製造技術を応用した製品開発を予定しています。ガーデンツールは先進国を中心に広く使用される工具で、販売の拡大が期待できます。
世界の電動工具市場は過去3年の推移で年率平均約10%成長しています。2006年の総合生産台数では、中国で2億4千万台、世界の推定生産台数は2億8千万台と推測されます。
このうち、当社の市場シェアは10%と推察され、これまでの長期にわたる顧客との信頼関係も考慮すると、当社の製品・商品は市場の成長と共に伸長するものと考えます。
<産業用鋸>
産業用鋸は、多くの産業分野の幅広い素材切断に寄与しています。中でも、自動車関連産業で採用される金属切断用チップソー市場の成長が顕著で、最近では毎年二桁以上の成長をしています。従来の切断方法は単なる寸法取りに止まり、次の工程で、精密な工作機械による仕上げ加工を施すのが通常の製造手順でしたが、金属切断用チップソーは工作機械による工程を省いて、正確な寸法と正確な形状を造り出すことができ、単なる原材料の寸法切断の道具から、精密な精度を実現する工具に進化しました。更にこのチップソーは、従来の鋸切断と比較すると生産性が4~10 倍高く、しかも工具費用は低く抑えることができます。アジア地域のように、新たに立ち上がる日系の自動車産業では全てこの方式が採用されますが、従来の部品製造においてもチップソーへの転換が急速に進んでいます。この製品には、世界の先端をリードする多方面の技術が凝集されていますので、総合的な技術力のない新興国では容易に模倣ができません。
世界の自動車生産台数は今後も4%程度の成長を続け、特にアジア地域では10%を超える成長が期待されますが、この多くは日本の自動車関連産業によってもたらされるものです。当社では、日本の自動車メーカーや二輪車メーカー等の需要増加に呼応して、金属切断用チップソーの製造規模を拡大してまいりますので、同製品の今後の売上高が伸長できると予測しております。また、海外に進出した日系企業の受注活動を促進する為に、世界をカバーする営業展開を計画しています。
*以下、詳細は添付資料をご参照ください。