小野薬品、米社と新規癌性悪液質治療薬のライセンス契約を締結
小野薬品、新規癌性悪液質治療薬について米国サファイア社と日本・韓国・台湾を対象としたライセンス契約を締結
当社(本社:大阪市)は、米国サファイア・セラピューティクス社(本社:米国ニュージャージー州)と、サファイア社が開発中の新規癌性悪液質治療薬「RC-1291」(開発コード)についてライセンス契約を締結しましたので、お知らせします。
今回の契約に基づき、当社はRC-1291を日本・韓国および台湾で、独占的に開発・販売する権利を取得しました。その見返りとして当社はサファイア社に、契約一時金、マイルストンおよび売上高に応じたロイヤルティを支払います。
RC-1291は、経口投与が可能な低分子グレリン様作用薬であり、現在、サファイア社は米国で癌性悪液質の患者さんを対象にフェーズII試験を実施中で、米国FDAから優先審査指定を受けております。なお、当社は国内においてフェーズI試験を来年度の第1四半期中にも開始する予定です。
グレリンは、主に胃で産生されて血中に分泌されるペプチドホルモンであり、食欲増進や筋肉増強・消化管機能調節など、生体内で様々な生理作用を有しています。RC-1291は、グレリンと同様の食欲増進・筋肉増強作用などを発揮することが期待される経口投与可能な低分子化合物であり、癌性悪液質の患者さんの低下したQOLを改善する画期的な薬剤に成り得ると期待しております。
小野薬品の取締役開発本部長である松岡昌三氏は、「小野は、初めての癌性悪液質治療薬になる可能性のあるサファイア社のRC-1291を見出して導入することができた。この薬剤は、患者さんの食欲を増し、タンパク同化作用により筋肉を増強することで、患者さん自身で自立した日常生活を送り、QOLを改善することが期待され、患者さんのためになる薬剤になり得ると考えている。」と述べております。
サファイア社の取締役副社長であるウィリアム・ポルビーノ氏は、「『病気と苦痛に対する人間の戦いの為に』を経営理念として、多くの新規医薬品を創製し、開発している小野薬品と提携できることを喜んでいる。サファイア社は、癌性悪液質患者の為にRC-1291を届けるべく、小野薬品と協力して開発を進めていくことを楽しみにしている。」と述べております。
以上
*癌性悪液質について
癌患者さんでは、その病状の進行に伴い食欲不振・体脂肪量や筋肉量の減少を特徴とする全身消耗状態がかなりの頻度で見られるとの報告があります[1]。この状態は癌性悪液質と呼ばれており、この悪液質が発現するとQOLが著しく低下してまいります。
[1]乾明夫:癌性悪液質の成因と治療に関する最近の進歩.
癌と化学療法32(6):743-749,2005
*ペプチドホルモンについて
生体内で産生されて体内を循環し、決まった器官でその効果を発揮する生理活性物質をホルモンといい、2個以上のアミノ酸が繋がったものをペプチドといいます。
グレリンは、28個のアミノ酸から成るペプチドホルモンです。
*サファイア・セラピューティクス社について
サファイア社は、他社から導入した低分子グレリン類縁体の臨床開発を手掛けるベンチャー企業であり、既存の治療薬では十分な効果が得られていない代謝性疾患や癌疾患の治療薬の開発を目指しております。サファイア社は、グレリン経路で作用を発揮するファースト・イン・クラスの化合物をパイプラインに有しております。その中でRC-1291 は最も開発が進んでいる化合物です。
詳細についてはサファイア社のホームページ( www.sapphirethera.com/ )をご覧下さい。