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2024'11.25.Mon
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2007'05.21.Mon

NECとNECエレ、Low-k膜技術を使ったLSI多層配線を開発

32nm世代LSIの多層配線を世界に先駆けて試作し、基本性能を実証

~新開発のLow-k膜技術の適用により優れた性能と耐久性を実現 ~


 NECとNECエレクトロニクス社はこのたび、32nm世代のLSI多層配線を世界に先駆けて試作し、Low-k膜に関する新たなブレークスルー技術を適用することによって優れた性能と耐久性が実現できることを実証しました。

 最先端LSIでは、大規模化に伴って膨大な数のトランジスタを接続する配線数が増えることに加え、微細化により配線間隔が狭まるため、信号遅延の原因となる配線寄生容量(注1)が増えてしまう問題があります。そこで、寄生容量を抑えるためポーラスLow-k膜(分子細孔膜:注2)が必要となりますが、従来の技術で32nm世代まで微細化すると機械強度と絶縁耐性が弱くなるという課題がありました。今回の技術はこれを解決するもので、LSIデバイスのさらなる高集積化が可能となり、次世代高速ネットワークサーバや携帯端末・機器の高性能化・低消費電力化が実現されます。

 このたび開発した技術は、次の通りです。

(1) プラズマ共重合法(注3)による成膜時にポーラスLow-k膜用原料と補強分子原料の混合比率を変化させることで、真空内で連続的に誘電率と膜強度を変化させることができる「密度変調Low-k膜技術」を開発。ポーラスLow-k膜と高強度Low-k膜を選択的に連続形成し、高い機械強度と密着性を確認。  

(2) 密度変調Low-k膜に対し高精度な選択微細加工ができるドライエッチング技術を開発。 

(3) これら技術を盛り込んだ32nm世代寸法(50nm間隔)の多層配線を作製し、絶縁耐性の飛躍的向上(従来比で3桁低減)を実証。同時に、配線寄生容量が低い値(83fF/mm)に抑えられており、高速性・低電力性においても優れていることを確認。 


 シリコンLSIの大規模化にともない、無駄な消費電力の原因となる配線寄生容量も増えてしまうという課題があります。この寄生容量を抑えるため、90nm世代LSIでは低分極材である有機シリカ膜(SiOCH)等のLow-k膜が実用化され、また65nm世代以降ではLow-k層間膜中に空孔を分散させて寄生容量をさらに抑えるポーラスLow-k膜の導入が検討されています。これまで当社は、半導体MIRAIプロジェクトと共同でサブナノメートル径の空孔を均一に導入した分子細孔Low-k膜を開発し、45nmLSI多層配線への適用を進めてきました。しかし、32nm世代LSIの実現に向けて、より間隔の狭まる配線間で絶縁信頼性を確保することが大きな課題でした。一般にポーラスLow-k膜を用いると寄生容量は下がりますが機械強度が低くなります。このため、通常はポーラスLow-k膜と機械強度の高い絶縁膜を組み合わせた構造を作ります。従来の技術ではこれらの膜を一つ一つ、真空状態から出し入れして、別々の装置を使って成膜するため、お互いの界面に僅かな欠陥が出来てしまい、絶縁性を極限まで高められませんでした。

 このたび開発した技術により、役割の異なる膜を真空中で一挙に作り上げることが可能になりました。具体的には、プラズマ共重合と呼ばれる真空タイプの成膜法において、2種類の原料の混合比率を切り替えることで、成膜を続けながらポーラス化を行ったり、膜の強度を高めたりできる「密度変調Low-k膜技術」の開発です。このように真空中で膜を一括成長することにより界面の欠陥ができる状況を排除し、配線構造のリーク電流を約3桁減らしました。また、高強度部分に用いる新たな膜は既存の膜と同等の比誘電率で2倍の機械強度を持っています。

 さらに、Low-k膜密度の変化を敏感に感知する高精度の選択ドライエッチング技術を開発し、32nm-LSIに対応した50nm間隔の極微細加工を施しても配線間リーク電流の増大がない高信頼なLow-k配線構造を実現しました。45nm-LSI配線との比較では、配線間容量83fF/mmを維持しつつ約2倍の配線密度を実現し、1mm幅当り最大1万本の配線を可能としました。

 NECでは、密度変調Low-k膜技術を用いた配線モジュール技術が、32nm-ULSIに必要不可欠ものであると考えており、早期の実用化を目指して、今後とも積極的な研究開発活動を展開する予定です。

 なお、今回の技術は、NECが参画した第1期および第2期の半導体MIRAIプロジェクト(注4)の研究成果および当社とMIRAIプロジェクトの共同研究成果を発展させることで得られたものです。MIRAIプロジェクトは、独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)からの委託により運営されています。また、有機シリカ系原材料は東ソー株式会社および東ソー・ファインケム株式会社に提供していただいています。

 今回の成果は、12月11日から13日まで米国サンフランシスコで開催され るインターナショナル・エレクトロン・デバイス・ミーティング(IEDM)におい て発表する予定です。

以上

(注1) 層間絶縁膜を挟んだ隣接配線を対向電極とした擬似的コンデンサーの蓄積容 量。配線寄生容量が大きいと、信号を伝搬する際配線に余分な電気の充放電が生じ、信号伝搬を遅くしたり、消費電力を増大させたりする。

(注2) 極微細孔を内包するように化学構造設計された原料分子を、真空中で積み上 げて成長するポーラスLow-k膜のこと。45nm世代LSI向けでは、3つのシリコ ン原子と3つの酸素原子からなる"分子の輪"、すなわち分子ポアを持つ原料 を用いてプラズマ中で活性化させて積み上げ、比誘電率2.4のLow-k膜を成長することに成功。当社と半導体MIRAIプロジェクトの共同研究成果。 

(注3) 複数の原料分子をプラズマ中に導入して共重合反応を生じさせて新しい性質 を持った膜を真空成長させる技術。半導体MIRAIプロジェクトにおいて、有機絶縁膜を用いて基礎的な技術実証がなされ、MIRAIプロジェトより、IEEEIEDM2003で発表された。 
*A new plasma-enhanced co-polymerization (PCP) technology for reinforcing mechanical properties of organic silica low-k/Cu interconnects on 300 mm wafers 
Kawahara, J.; Nakano, A.; Kunimi, N.; Kinoshita, K.; Hayashi, Y.; Ishikawa, A.; Seino, Y.; Ogata, T.; Takahashi, H.; Sonoda, Y.; Yoshino, T.; Goto, T.; Takada, S.; Ichikawa, R.; Miyoshi, H.; Matsuo, H.; Adachi, S.; Kikkawa, T.; Electron Devices Meeting, 2003. IEDM '03 Technical Digest. IEEE International 8-10 Dec. 2003 Page(s):6.2.1 - 6.2.4 

(注4) 半導体MIRAIプロジェクトにおける「低誘電率材料および配線モジュール技術」は、2001年7月~2004年3月の第1期と2004年4月~2006年3月の第2期に実施された。NECは上記プロジェクトに参画しその研究成果移転を受けて いる。なお、半導体MIRAIプロジェクトは独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)からの委託により運営されている。

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