カネカ子会社、薄膜系太陽電池を2008年に年産70メガワットに能力増強
薄膜系太陽電池。1年後に年産70メガワットに能力増強へ
― 本年4月、世界最大(薄膜系)の設備となる年産55メガワットが稼働開始 ―
株式会社カネカの100%出資子会社であるカネカソーラーテック(株)(本社:兵庫県豊岡市。社長:浜口訓路)は、薄膜系太陽電池の生産能力を年産30メガワットから55メガワットに増強し、本年4月に計画通り稼働した。引き続き、来年平成20(2008)年の稼働を目標に、コスト競争力の高い独自の生産技術を導入して、年産70メガワットへ増強する。更に、今後のマーケット動向を判断し、更なる能力増強の検討に入った。
今後とも、薄膜系太陽電池のトップメーカーとしての競争力を着実に強化し、当社の重点戦略分野の一つである太陽電池事業のより一層の拡大を進める。
世界の太陽電池生産量は、平成17(2005)年において前年比52%増の1662メガワットに達し、平成18(2006)年も30%以上伸張すると予想されている(2006年産業構造総合研究所市場調査報告による)。特に欧州では、ドイツをはじめスペインやイタリアなど約20カ国に太陽電池で発電した電力の買い取り制度が広く普及しており、世界シェア50%以上を有する市場に成長している。
当社は、昨年4月、チェコ(チェコ共和国オロモウツ市)に設置したモジュール組立拠点の能力を、旺盛な需要に応えるため、本年4月には20メガワットに倍増し、2年以内に30メガワットまで拡大し、短納期・小口販売が求められる欧州の顧客ニーズに迅速に対応できる体制を構築していく。また、これまで欧州でアモルファスシリコン太陽電池の地上設置用途を中心に展開してきた実績と高い評価を踏まえ、ハイブリッド太陽電池を投入し今後新たな分野として屋根やファサードなどの用途に積極的に展開していく。
更に、米国市場やアジア市場の需要拡大に対応するため、新たなモジュール組立拠点の設置も検討しており、太陽電池事業のグローバル展開を加速させる。
ハイブリッド太陽電池は、従来のアモルファスシリコンと薄膜多結晶シリコンの2層構造に新規透明中間層を積層する画期的な技術により、2層のままで変換効率12%を達成した薄膜系太陽電池である。一方、アモルファスシリコン太陽電池は、結晶系太陽電池に比し高温の地域でも変換効率の低下が少ないという特性を活かし、東南アジア、南欧、米国南部などの地域への市場展開を積極的に推進する。その一環として、本年1月に、タイ国ナレソン大学の再生可能エネルギー技術学校と、気温が高い地域でのアモルファスシリコン太陽電池の優位性を学術的に解析する共同研究をスタートさせた。将来の東南アジア地域での市場展開に積極的に役立てていく。
以 上