ルネサステクノロジ、次世代カーナビなど向けSuperHファミリを製品化
カーナビ向け高性能SoC第3弾「SH7775」を製品化
- 従来品を1.5倍に高速化し、さらなる高性能次世代車載情報端末を1チップで実現 -
株式会社ルネサス テクノロジ(本社:東京都千代田区、会長&CEO 伊藤 達)は、このたび、次世代カーナビゲーション機器(以下、カーナビ)などの高性能車載情報端末等向けに、SuperH(TM)(注1)ファミリ「SH7775」を製品化しました。2007年7月よりサンプル出荷を開始します。
本製品は、1GIPS(giga instructions per second)以上の高処理性能を実現するSuperHファミリ最上位CPUコア「SH-4A」を搭載し、新規開発した地図描画に最適なグラフィックスエンジン、高度な描画処理が可能な3Dグラフィックスエンジン、加えてGPS(注2)ベースバンド処理機能などの多彩で豊富な周辺機能を内蔵したカーナビ向け高性能SoC(System on Chip)です。
また、本製品は当社既存の「SH7770」「SH7774」に続くカーナビ向けSoCラインアップの第3弾で、「SH7770」の後継品であり、ユーザが効率良くシステム開発を行えるリファレンスプラットフォームを、2007年7月から提供開始する予定です。
本製品の特長は、以下のとおりです。
(1)当社従来品に比較し、1.5倍高性能化した600MHz動作のCPUコア「SH-4A」を搭載
当社既存品「SH7770」と比較し、最大動作周波数を1.5倍に高速化しています。既存品と同様にSuperHファミリの最上位CPUコア「SH-4A」を搭載し、最大動作周波数が600MHzで、CPUの処理性能は1GIPS以上、浮動小数点演算器(FPU:Floating-point Processing Unit)の処理性能は4.2GFLOPS(giga floating-point operations per second)を実現しています。これらの高い処理性能により、高性能なシステムが実現可能です。また命令セットは「SH-4」の上位互換であるため、「SH-4」を使用した既存システムのプログラムを流用することが可能です。これにより、システムの開発期間を短縮できます。
(2)新規開発の地図描画用グラフィックスエンジン及び3Dグラフィックスエンジンを内蔵
本製品は、当社既存品に内蔵されている太線描画機能などの2D描画機能に加え、トライアングル3D描画、テクスチャマッピング等の地図描画に特化した3D描画機能を持つグラフィックスエンジンを開発、搭載しています。これにより地図上の3Dオブジェクトの多彩な表現が可能となり、カーナビ画面を表現するために必要な描画を単一の描画エンジンにて実現できます。本エンジンは既存製品のエンジンと上位互換で、既存のソフトウェアを流用できるため、アプリケーション開発をより簡易に行うことができます。
また、アプリケーション開発効率をさらに向上し、かつ本グラフィックスエンジンの性能を最大限に引き出す高性能描画ソフトウェア「MAPGL(注3)グラフィックスソフトウェアエンジン」を、2007年7月からサンプル提供する予定です。本ソフトウェアにより、グラフィックスアプリケーションの開発期間を当社比で最大約1/3に短縮可能です。
3Dグラフィックスエンジンとしては、「SH7770」と同様に、英国Imagination Technologies, Ltd.の3DグラフィックスIPである「PowerVR(R) MBX(注4)」を搭載しており、既存のグラフィックスアプリケーションのプログラムを流用することが可能です。
(3)車載情報端末向けの多彩で豊富な周辺機能を内蔵
本製品は、GPSベースバンド処理モジュール、ATAPIインタフェースやUSB規格v2.0ホスト/ファンクションインタフェース、車載LANのCAN(注5)インタフェースなど、カーナビに必要となる周辺モジュールを内蔵しています。さらに、各モジュールでメモリを共有して使用できるユニファイド・メモリ・アーキテクチャを採用しており、外付けメモリの部品数を削減することが可能です。GPSベースバンド処理モジュールとしては、米国SiRF Technology Holdings Inc.のGPSベースバンド処理IPを採用しています。
これらの多彩で豊富な周辺機能により、部品数を低減でき、高性能でありながらシステムの低価格化を図ることが可能です。
<製品化の背景>
近年、カーナビの主要機能である地図表示として、3D表示をはじめとする、より見やすくリアルで、高度かつ多彩な表示が求められています。さらにはナビゲーションの機能だけでなく、例えば、携帯電話を経由して各種情報をリアルタイムに取得することや、地上デジタル放送の受信、音楽や映画等の娯楽情報機器としての役割、さらには安全走行支援システムのひとつとしての機能など、カーナビを中心とした車載情報端末の機能は、急激な進化を続けています。
今後の車載情報端末は車内において、その位置づけが高まるにつれ、ますます多機能化し、高度になることが見込まれています。これにともない、システム開発の負担は増大することが予想され、既に開発済みのソフトウェア資産の有効活用や、新規機能の短期間での開発など、いかに効率よく開発できるか等が重要になっています。
当社は市場ニーズに対応するため、これまでカーナビの分野で高いシェアと実績があり、カーナビの進化に貢献してきた「SH-4」の上位互換である「SH-4A」のCPUコアを搭載し、GPSベースバンド処理機能をはじめとして、多彩な周辺機能を内蔵した「SH7775」を製品化しました。
<製品の補足>
本製品にはSuperHファミリの最上位CPUコア「SH-4A」を搭載し、最大動作周波数600MHzで、1GIPS以上の高処理性能を実現しています。また、同じく最大600MHzで動作する浮動小数点演算器(FPU)を内蔵しています。FPUは、単精度および倍精度演算をサポートし、演算性能は、単精度で最大4.2GFLOPSを実現しています。これらの高い処理性能により、高性能なシステムを実現可能です。
また、地図描画に最適な機能を備えた地図描画用グラフィックスエンジンを搭載しています。これまでの太線描画機能やアンチエイリアス機能といった2D描画機能に加え、トライアングル3D描画、テクスチャマッピングといった3D描画機能を持ち、カーナビで重要な地図描画を高品質かつ高速に行えます。これにより地図上のビルやランドマークなどの3Dオブジェクトの多彩な表現が可能となり、カーナビ画面を表現するために必要な、地図、アイコン、メニューなどの描画を単一の描画エンジンにて実現できます。
さらに、この地図描画用グラフィックスエンジンの性能を最大限に引き出す高性能描画ソフトウェア「MAPGLグラフィックスソフトウェアエンジン」を提供します。本ソフトウェアが備える利便性が高いAPI(Application Programming Interface)により、地図描画用グラフィックスエンジンがサポートする描画機能をより容易に使用することが可能となります。また実機と同じ描画を実現するPCシミュレーション環境により、ユーザにおけるグラフィックスアプリケーションの開発を支援します。
さらに、CPU負荷を軽減するため、各グラフィックスエンジンに頂点座標計算等を行うジオメトリエンジンを搭載しています。描画処理は150MHzの高速動作かつ描画方式の改善により、「SH7770」と比較して最大3倍の性能を実現しています。これにより、高画質で滑らかな2D/3Dグラフィックス表示を実現できます。
加えて、本製品は、車載情報端末に必要な多彩で多様な周辺機能を搭載しています。GPSベースバンド処理機能の他、ATAPIインタフェース、USB規格v2.0ホスト/ファンクションインタフェース、車載LANのCANインタフェース、各種サウンドインタフェース、各種シリアルインタフェースなど豊富な周辺モジュールを内蔵しています。
また、ユニファイド・メモリ・アーキテクチャを採用しています。本アーキテクチャにより、各モジュールでの使用メモリを共有できるため、外付けメモリの部品数を削減することができます。
その他、外部バスとして、高速なDDR2-SDRAM(Double Data Rate 2-Synchronous DRAM)と接続可能な32ビット専用バス、並びにフラッシュメモリやSRAMと接続するための32ビット幅の拡張バスを備えています。
パッケージは、560ピンBGA(25mm×25mm)を採用しています。
開発環境としては、ホストPCとUSBインタフェースで接続する「E10A-USB」エミュレータが使用できます。さらに、オンチップデバッグ機能を搭載しているため、最大動作周波数でのリアルタイムデバッグが可能です。
また、ユーザのシステム開発向けに、以下の特徴のあるリファレンスプラットフォームを準備しています。ユーザは本リファレンスプラットフォームを使用することで、システムを効率良く開発することができます。
(1)車載情報機器向けの周辺回路を搭載し、ユーザシステムの実機検証環境を実現。
(2)アプリケーションソフト等のソフトウェア開発ツールとして使用可能。
(3)ユーザによるオリジナル機能の追加が可能。
今後、更なるCPUの高性能化や高速化、高機能製品などの開発を進め、市場ニーズに適した製品をタイムリーに投入し、カーナビ市場の進化に貢献していきます。
■注記
(注1)SuperH(TM)は、(株)ルネサステクノロジの商標です。
(注2)GPS:Global Positioning Systemの略で、全地球測位システム。
(注3)MAPGL:MAP drawing Graphics Libraryの略。
(注4)PowerVR(R)は、英国Imagination Technologies, Ltd.の商標です。
(注5)CAN:Controller Area Networkの略で、独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様。
*その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■応用機器例
・車載情報端末:カーナビゲーション機器等
・アミューズメント機器など
■価格
製品名:SH7775(R8A77750DBGV)
パッケージ:560ピンBGA
サンプル価格(円)<税込>:8,500
■仕様
(※ 関連資料を参照してください。)
<お客様からの問い合わせ先>
株式会社ルネサス テクノロジ
マイコン統括本部 自動車事業部 自動車応用技術第二部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 (日本ビル)
電話 03(5201)2949(ダイヤルイン)
(※ 製品画像、仕様は関連資料を参照してください。)