オムロン、LFTとレーザ微細加工技術による事業領域拡大で業務・資本提携
レーザーフロントテクノロジーズ社と業務・資本提携を確立
- レーザ微細加工技術による事業領域拡大を目指す-
オムロン株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:作田久男、以下オムロン)は本日、レーザーフロントテクノロジーズ株式会社(本社:神奈川県相模原市、代表取締役社長:松延赳士、以下LFT社)と業務・資本提携を行うことで最終合意に至りましたので、お知らせいたします。
今回の提携は、当社のインダストリアルオートメーションビジネスカンパニー(カンパニー社長:立石文雄、以下:IAB)およびLFT社がレーザ微細加工技術による双方の事業領域の拡大を図るために行うものです。
現在、IABでは、製造業の新たなニーズである「品質」「安全」「環境」に対する事業強化に取り組んでいます。中でも「品質」に関しては、製品のライフサイクルにわたって品質を測定、分析、改善することで継続的に品質を向上させる「品質ソリューション事業」を展開しています。同事業においては、基板検査装置やLCD短寸計測装置(注1)等、製造業における「検査・計測」用途の商品を提供して
います。
一方、LFT社は、2004年4月に日本電気株式会社より分社化・独立したレーザ加工装置開発・製造企業であり、世界で初めて固体レーザを事業化した技術を有しております。レーザ発振器とそれを加工に応用するレーザプロセス技術の両面でトップクラスの技術力を保有しており、LCD用のCVDリペア装置(注2)ではグローバルトップシェアを誇っています。また、世界最高出力のUV 固体レーザ、トリマ装置、レーザ溶接機、レーザマーカなど幅広い商品を提供しています。
IABの「検査・計測」事業とLFT社の「レーザ加工」事業が連携することで、益々微細化が進む製造プロセス全領域にわたって、トータルな品質をお客様に提供することが可能になります。具体的には、加工対象や加工位置を計測しながらの精密なレーザ加工や、製品検査とリペアを連携させることによるリペア自動化などの応用展開が可能となります。
また、LFT社はレーザ加工用途で液晶・半導体・電子部品などの業界に強く、IAB は製造業全般にグローバルベースで非常に幅広い顧客基盤を有しています。今回の提携により、両社顧客への一層の提供ソリューション強化を図り、顧客満足度の更なる向上により事業成長の加速を図ります。
なお、資本提携の形態としては、LFT社の主要株主である日本産業パートナーズ株式会社、日本電気株式会社をはじめとする株主から同社普通株式を譲り受けることにより、当社がLFT社の株式の80%超を取得いたします。
オムロン(株)IABカンパニー社長 立石文雄のコメント
「LFT社との提携により、LFT社の保有する最先端のレーザ微細加工技術と当社のセンシング&コントロール技術を融合し、さらに両社が保有する顧客基盤の相互活用により、製造業における「品質」「安全」「環境」への取組みをグローバルベースで展開できるものと考えている。」
LFT(株)社長 松延赳士のコメント
「これまでLFT社は、液晶関連・半導体関連レーザ加工装置を中心に事業展開してきたが、オムロン社との技術融合により、より幅広い顧客ニーズに立脚した新しいレーザソリューション展開が可能となり、事業基盤を飛躍的に拡大できるものと考えている。」
1. 業務・資本提携の目的
(1)商品ラインアップの充実による事業領域の拡大
品質トレーサビリティの確保、RoHS(有害物質)指令、電子部品の小型・軽量化、高密度・高精度化など、現在、製造業を取り巻く環境が大きく変化しています。こうした中、製造業においては、レーザ微細加工技術を応用したものづくりが不可欠になっています。
IABは、本業務・資本提携により、LFT 社の保有するレーザ微細加工技術を活かしたレーザリペア装置、レーザマーカ、レーザ溶接機等、製造業における加工工程に用いられる数々の製品をIABの商品ラインアップに加えることで、加工、組立、検査・計測、といった製造プロセス全領域におけるソリューションの提供による事業拡大を図ります。
LFT社は、本業務・資本提携により、IABの保有するセンシング&コントロール技術とLFT社がこれまで蓄積してきたレーザ加工技術との融合商品の提供により、顧客満足度の更なる向上による事業成長の加速を図ります。
(2)提供ソリューション強化による顧客満足の実現
LFT社とIABの顧客に対し、両社の既存商品を供給するとともに、両社の技術シナジーを活かした新製品開発を推進し、幅広い顧客ニーズに基いたトータルソリューション提供を行います。斯かる提供ソリューション強化により、一層の顧客満足を実現できるものと考えております。
2.LFT社の概要
会社名 レーザーフロントテクノロジーズ株式会社
事業内容 レーザ及びレーザ加工装置の開発、設計、製造、販売、保守
代表者 代表取締役社長 松延赳士(まつのぶたけし)
資本金 1,508百万円
所在地 神奈川県相模原市
設立年月日 2004年1月30日
売上 11,174百万円(2005年度)
従業員数 247名(2007年3月末)
3.今後の日程
2007年6月末(予定) 業務・資本提携日
<語句説明>
(注1)LCD短寸計測装置
液晶(LCD)のアレイ工程におけるTFT基板の線幅や重ね合わせを高速、高精度に測定する装置。
基板内の線幅の分布、ばらつきを詳細に把握することで、不良品の発生を予知・予防することができる。オムロン独自の照明系、光学系および画像処理アルゴリズムの搭載により、繰り返し精度0.1μm という高精度計測と高速・高精度ステージの採用で、1点/1秒という測定速度を実現。
(注2)LCDのCVDリペア装置
液晶パネル生産の各工程における液晶基板の金属配線パターン上に生じた欠陥に対して、レーザで微細加工を施すことで、液晶パネルを良品化する装置。これにより、液晶の歩留まり向上に大きく寄与することができる。CVDとはレーザによる化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition)の略。