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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2007'05.18.Fri

ハウス食品、「苦味低減化フェヌグリーク」の糖尿病予防効果など研究成果を発表

「苦味低減化フェヌグリーク」の糖尿病予防効果とメタボリックシンドロームにおける糖脂質代謝の改善効果を確認
―第61回 日本栄養・食糧学会で発表―  


 ハウス食品株式会社は、京都大学大学院農学研究科(教授:河田照雄、京都府宇治市五ヶ庄)との共同研究により、香辛料の一種であるフェヌグリーク(※)を苦味低減化した新素材に、糖尿病を予防する効果と、メタボリックシンドロームにおける糖脂質代謝の改善効果が期待できることを確認しました。この研究成果を、日本栄養・食糧学会第61回大会(2007年5月18日~20日・京都市)にて共同発表いたします。


※フェヌグリークとは…

通称名:フェヌグリーク (別名:コロハ、メッチ、メティ)
学 名:Trigonella foenum-graecum L. (マメ科)
原産地:南ヨーロッパ、西アジア
主産地:北アフリカ、フランス、インド、アルゼンチンなど
特 徴:黄~茶色の硬くて滑らかな外観で、1辺3mm程度のほぼ正方形状の種子。
     生では強い苦味を有する。軽く煎ると、カラメルあるいはメープルのような甘い芳香を発する。
用 途:カレーパウダー、チャツネ、ソース、ピクルスなど
食経験: 
 スパイスとして太古から使用されており、古代エジプトの墓からも発見されている。宗教上の理由で肉類を口にしない人が多いインドや中近東の国々では、フェヌグリーク豆を貴重な栄養源として食用にしている。発芽して間もない若芽や若葉も食用にされている。


■研究の背景 

 フェヌグリークは、インドや中近東で広く栽培されているマメ科の植物です。太古からスパイスとして利用され、カレー粉などに利用されています。このフェヌグリークは、伝承レベルにおいて、安産、母乳分泌、疲労回復、抗炎症などの機能を有するといわれてきました。最近では、血糖値の低下作用が注目されて糖尿病に対する研究が行なわれています。しかし、フェヌグリークは強い苦味を有しており、食材としての応用性が低いことが欠点です。
 一方、メタボリックシンドロームは、肥満を出発点として肥満により生じたインスリン抵抗性によって糖尿病、高脂血症および高血圧が重積して、それが動脈硬化症の高いリスクとなるという疾患の概念です。このメタボリックシンドロームは、過栄養と運動不足という先進国に典型的な生活習慣が発症要因となり、先進国において増加の一途をたどっています。現在、このメタボリックシンドロームに対して、運動・食事療法による未然の予防が注目を集めています。
 このことから、食品素材のメタボリックシンドロームに対する効果を正確に評価することは、メタボリックシンドロームの予防や改善への応用が期待されると共に、食事療法に対する社会の意識を高めることに?がると考えられます。 


■今回の研究の目的 

 フェヌグリークの大きな欠点であった苦味について、苦味成分であるサポニンを酵素により分解することによって低減化し、摂取しやすくしたフェヌグリークの作成に成功しました。今回の研究では、この苦味を低減化したフェヌグリークのメタボリックシンドロームに対する効果を評価する目的で、2型糖尿病(※)モデルマウスを用いて効果の確認を行いました。

※2型糖尿病
 糖尿病を大別すると、1型糖尿病と2型糖尿病があります。1型糖尿病は、膵臓のインスリンを作る細胞が破壊され、体の中のインスリン量が絶対的に足りなくなって起こります。以前はインスリン依存型糖尿病と呼ばれていました。これに対して2型糖尿病は、インスリンの出る量が少なくなって起こるものと、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなる(インスリン感受性が悪い)ために、ブドウ糖がうまく取り入れられなくなって起こるものがあります。以前はインスリン非依存型糖尿病と呼ばれていました。食事や運動などの生活習慣が関係している場合が多く、わが国の糖尿病の95%以上はこのタイプです。 


■研究の成果 

 2型糖尿病モデルマウス(KK-Ay雄マウス)に、苦味低減化フェヌグリーク2%を含む高脂肪食を摂取させ、35日間飼育しました。
 その結果、苦味低減化フェヌグリークを摂取することによって、絶食時(空腹時)血糖値と血中中性脂肪値は、未摂取に比較して有意に低下しました。また、肝臓重量も有意な低下を示し、体重と白色脂肪組織重量は低下傾向を示しました。
 これらのことから、苦味低減化フェヌグリークは、メタボリックシンドロームにおける糖脂質代謝を改善し、糖尿病の予防効果のあることが示唆されました。 


■まとめ 

 苦味低減化フェヌグリークは、メタボリックシンドロームの予防・改善に有効な食材であることが示唆されました。フェヌグリークは、これまで強い苦味のため食材としての応用が限られていました。しかし、今回報告する苦味を低減化し、食材としての適応範囲を広げたもので有効性が確認されたことにより、食事療法によるメタボリックシンドロームの予防・改善へ、苦味低減化フェヌグリークの応用が期待されます。


■発表の概要 

<発表演題> 「苦味低減化フェヌグリークは、効果的に肥満に伴う糖尿病を予防する」

<発表日時> 2007年5月19日(土曜日)「第61回 日本栄養・食糧学会(※)」

※日本栄養・食糧学会とは…
 栄養科学ならびに食糧科学に関する学理および応用の研究についての発表、知識の交換、情報の提供を行うことにより、栄養科学、食糧科学の進歩普及を図り、わが国における学術の発展と国民の健康増進に寄与することを目的とした学会です(学会ホームページhttp://eishoku.umin.ne.jp/より)。

<発表場所> 国立京都国際会館(京都府京都市左京区宝ヶ池)K会場

<発表者> 京都大学大学院農学研究科  植村 卓、後藤 剛、康 敏淑、河田照雄
        ハウス食品株式会社ソマテックセンター  中野雄喜、正野仁慈、星野彰平、柘植信昭、鳴神寿彦


●KKAyマウスに飼料(60%高脂肪食)を4週間与えた時の血糖値の変化グラフの説明
※下記の通り、コントロール群は血糖値が上昇を続け、4週間で病的なレベルとなる400mg/dlを超えますが、苦味低減フェヌグリークを2%含む飼料の群は、血糖値の上昇が抑えられ、正常値の範囲で推移しました。

 (※参考資料を参照)
 

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