医学生物学研究所、自己抗体を検出する新しい腫瘍マーカー測定診断薬の製造承認を取得
自己抗体を検出する新しいタイプの腫瘍マーカー測定診断薬の製造承認を取得
~癌抑制因子p53タンパク質に対する自己抗体を測定し、食道がん・大腸がん・乳がんの早期診断を可能にします。~
株式会社医学生物学研究所(名古屋市中区・社長 西田克彦)は、厚生労働省より新規の腫瘍マーカー「MESACUP anti-p53 テスト」について、体外診断用医薬品としての製造承認を取得しました。この新規腫瘍マーカー検査(血清p53抗体)は、千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学講座との共同研究の成果であり、大腸がん・食道がん・乳がんの早期診断が可能な検査法として期待されます。なお、新規腫瘍マーカーとしての製造承認はほぼ8年ぶりとなります。
1)p53について
p53は癌抑制遺伝子の一つで、正常なp53遺伝子産物( p53タンパク質、以下「p53」という。)は多彩な活性によって遺伝子の異常から生体を守る機能を担っています。主な働きとして、損傷を受けた遺伝子の修復や、細胞周期進行の制御、アポトーシス誘導能などがあります。
このp53遺伝子が異常(変異)を起こすとp53の活性が欠損し、遺伝子の損傷を受けた細胞が異常増殖し、がん化すると考えられています。
正常なp53は細胞内では安定に存在するものの血中では短時間で分解します。一方、異常な(変異した)p53は血中に分泌されても分解されずに組織内で蓄積し、その結果、がん患者の体内にp53に対する自己抗体が産生されます。
2)新製品「MESACUP anti-p53 テスト」について
本製品は、がん患者血清中に産生されたp53に対する抗体を測定します。この抗p53抗体を測定することで、従来の腫瘍マーカーでは診断が難しかった、比較的早期の(ステージ1あるいは2)の大腸がん、食道がん、乳がんの診断が可能となりました。
本製品の臨床的有用性としては、食道がんでは従来有用な腫瘍マーカーが存在していませんでしたが、本製品では早期食道がんでも高い陽性率を示します。また、大腸がんと乳がんにおいては、既存の癌抗原マーカー(CEA,CA15-3)と自己抗体である抗p53抗体との組み合わせ検査において、その陽性率が相加的に向上する特性があります。
なお、本腫瘍マーカー検査に関わる多施設共同臨床試験は、千葉大学の島田英昭講師・落合武徳前教授が組織したp53研究会より実施されました。
3)今後の予定及び売上計画について
本製品の発売は本年7月を予定しております。また、年内には当キットの保険適用を得たいと考えております。
売上高計画としては、保険適用後一年目1.5 億円、二年目3.0 億円、三年目5.0 億円を予定しております。
以 上