東芝とノーテル、モバイルWiMAX基地局の共同開発で提携
WiMAX基地局の共同開発に関する東芝とノーテルの提携について
~ ワイヤレス・ブロードバンドの技術革新を共同で推進 ~
株式会社東芝(本社:東京都港区、代表執行役社長 西田厚聰、以下、東芝)と、ノーテルネットワークス・リミテッド(本社:カナダ オンタリオ州、最高経営責任者 Mike S. Zafirovski(マイク・S・ザフィロフスキー)、以下、ノーテル)は、モバイルWiMAX*1基地局の新製品を、国内および海外市場向けに共同開発することで合意しました。
今回の提携に基づき、これまで国内市場を中心に小型、高効率アンプ技術で実績のある東芝と、世界市場においてワイヤレス技術をリードし、WiMAXの技術開発、製品化で実績のあるノーテルが、低消費電力化、小型化、高信頼性を実現する小型基地局を共同開発します。
両社は、小型WiMAX基地局を2つのブロック(高周波部、デジタル部)に分けて開発を進めます。東芝は、これまでの製品開発を通して培われたアンプ等における高周波部の小型化および高効率化技術をベースに高周波部の開発を行います。ノーテルは、ワイヤレス技術の世界的な開発実績、長年にわたり研究開発を行ってきたOFDM*2、MIMO*3といった高速ワイヤレス・ブロードバンドを実現する技術ノウハウを基に、デジタル部の開発を担当します。
この開発によって、エンドユーザーのより快適な通信環境を実現し、事業者の設置および運用におけるコスト低減効果のある小型WiMAX基地局の提供を目指します。
*1 WiMAXとは、Worldwide Interoperability for Microwave Accessの略称であり、IEEE802.16規格をベースにWiMAXフォーラム(仕様化や相互接続認証のための業界団体)にて標準化された次世代ワイヤレス・ブロードバンド規格の通称。IEEE-802.16e-2005規格をベースに120Km/h以下の移動性を保証したものが、モバイルWiMAX。日本国内においては、今後、2.5GHz周波数帯域の免許が総務省から交付される予定で、専用の基地局の整備が行われる見込み。また海外においては、すでに免許が交付された国があるなど、WiMAXの展開が開始されている。
*2 OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing 直交周波数分割多重方式
*3 MIMO:Multiple Input Multiple Output 送信と受信に複数のアンテナを使用し通信速度を向上させる技術
◆共同開発の背景と狙い
WiMAXは、インターネット利用や高速なデータ通信のためのアクセス手段として利用が見込まれる次世代ワイヤレス・ブロードバンドシステムの通信規格であり、無線LANよりも広域をカバーでき*4、携帯電話よりも高速なデータ通信*5が可能という特長があります。
現在、総務省が進める『次世代ブロードバンド戦略2010』においても、有効なブロードバンド技術の1つとして検討されており、都市部だけでなくブロードバンドインフラが整っていない地域など、様々なシーンにおいて活用されることが期待されています。
このような背景のもと、東芝とノーテルは、2006年12月から本年3月まで行われた、総務省東北総合通信局のモバイルWiMAX実証実験において、機器の提供とフィールド試験などで協力し、次世代ワイヤレス・ブロードバンドへの取り組みを進めてきました。
今回の合意により、国内を中心に無線基地局、基地局用ブースターアンプ、ROF(Radio Over Fiber)、ギャップフィラーなど無線伝送分野で実績のある東芝と、CDMA(Code Division Multiple Access)、GSM(Global System for Mobile Communications)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)などワイヤレス・ブロードバンド分野で世界的に実績のあるノーテルは、小型WiMAX用基地局の開発を通じ次世代ワイヤレス・ブロードバンド事業の更なる拡大を図ります。
*4 伝送距離(平均):1~3km
*5 伝送速度(最大):約75Mbps
◆東芝からのコメント
[ 東芝 執行役常務 社会システム社 社長 木村俊一 ]
当初の重点分野はWiMAX製品の開発であり、当社の高効率アンプ技術における実績と技術力を活かし、ノーテルのWiMAXソリューションを融合させて共同開発を進めていきます。また、日本以外でも世界中の多くの国でWiMAXの導入が見込まれている中で、両社の事業協力が、ワイヤレス事業者によるWiMAXソリューションの迅速かつ投資効果の高い事業展開に大きく貢献すると考えています。
◆ノーテルからのコメント
[ LG-Nortel会長兼ノーテルWiMAX&Wireless Mesh事業部ジェネラル・マネージャー Peter MacKinnon(ピーター・マッキノン) ]
日本は、ワイヤレス・ブロードバンド分野をリードする大変重要な市場です。東芝のワイヤレス分野の高周波部における実績および技術力とノーテルの最先端のWiMAX技術を融合させ、さらなる製品の強化を図り、日本市場に即した製品を提供できると確信しています。また、世界の市場においても東芝とのパートナーシップはモバイルブロードバンドサービス提供を支援する重要な役割を果たすことができると確信しています。
◆ノーテルの概要
ノーテルは、次世代ワイヤレス・ブロードバンド分野においては、過去8年にわたりOFDM-MIMOの技術開発に携わり、多数の特許を所有しています。WiMAX分野では、台湾の中華電信および国立台湾大学、オーストラリアのAuster、アメリカのQuad-Cities OnlineおよびMSV、ドミニカ共和国のWind Telecom、ギリシャのCraig Wireless、ロシアのGolden Telecom、メキシコのTelefonica Moviles、ブラジルのTVA、日本の総務省東北総合通信局などと協力しながら世界各国における実証実験およびWiMAXネットワークの導入実績があります。
ノーテルは、通信技術分野のリーダーとして、BUSINESS MADE SIMPLE(ビジネスをよりシンプルに) という理念を具体化し、顧客の皆様に提供します。通信事業者と企業の双方に向けた次世代技術により、マルチメディアやビジネスに必要不可欠なアプリケーションをサポートします。ノーテルは、ネットワークを簡素化し人と必要な情報を必要なときに結びつけて、効率改善、迅速化、パフォーマンス向上における障害を取り除くよう技術設計を行っています。ノーテルの事業展開は世界150ヵ国以上におよびます。詳しくは、 www.nortel.com をご覧下さい。またノーテルに関する最新のニュースは、 www.nortel.com/news でご覧いただけます。
<ノーテルネットワークス・リミテッドの概要>
設 立:1895年
株式取引市場:ニューヨーク証券取引所、トロント証券取引所上場
代表者:最高経営責任者 Mike S.Zafirovski(マイク・S・ザフィロフスキー)
売上高:114億2,000万米ドル(2006年度)
<ノーテルネットワークス株式会社の概要>
設 立:1983年
出 資:ノーテルによる100%出資
代表者:代表取締役社長 Nick Vreugdenhil(ニック・ブルーデンヒル)
従業員数:約160人
以 上