KDDI研究所、超広帯域OFDM伝送技術を用いた高度移動無線システム実証実験装置を開発
高度移動無線実証実験装置の開発について
~ITU-R SG8 WP8F 京都会合の併催技術展示会出展中~
株式会社KDDI研究所(埼玉県ふじみ野市、代表取締役所長:秋葉重幸/以下、KDDI研究所)は、超広帯域OFDM伝送技術※1を用いた高度移動無線システムの実証実験装置※2をITU-R SG8 WP8F 京都会合( http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070517_3.html )の併催技術展示会(5月22日~25日)にて出展中です。
国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)で審議されている新世代移動通信システム(IMT-Advanced)では、高速移動時に100Mbps以上、低速移動時に1Gbps程度のビットレートを実現することが研究目標とされています。本実証実験装置では、IMT-Advanced実現に向けた基盤技術の確立と検証を主な目的とし、最大20MHzの帯域幅を前提としている3.9世代方式(※3)をベースに帯域幅を100MHzまで拡張しています。この結果、最大で光ファイバ並のビットレートである746Mbps(下り)のリアルタイム通信が可能となり、加入者線光伝送を用いた固定通信と同等のサービスを実現する事が出来ます。
本装置により、IMT-Advanced実現に向けた主要技術(MIMO※4、OFDM、超広帯域無線伝送)に加えて、KDDIおよびKDDI研究所が提案している“回転多重変調※5”や“ツインターボ復号※6”等の新技術を検証することが可能で、一部の検証に着手しています。これら新技術により、屋外における高いビットレート伝送時の安定性を大きく向上させる事が期待されております。
今後は、本装置を用いたIMT-Advancedの主要技術や今回開発した新技術の検証を行っていきます。
さらに、本装置を用いたフィールド実験を2007年10月に開始し、標準化等に貢献していく予定です。
※1 OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing):直交周波数分割多重伝送方式。広帯域を用いた移動通信システムの実現に適している。
※2 株式会社日立製作所と共同開発中。
※3 3.9世代移動体通信方式:現在運用されているIMT-2000(W-CDMAやcdma2000)と同じキャリヤ周波数(800MHz帯、あるいは2GHz帯など)を使い、50M-300Mbpsの高いピークレートを実現する方式。標準化団体である3GPPではLTE(Long Term Evolution)が議論され、3GPP2ではUMB(Ultra Mobile Broadband)が議論されています。またIEEE 802.16でも16mといった規格が議論中です。
※4 MIMO(Multiple Input Multiple Output):複数のアンテナを用いた空間領域多重化技術で、伝送ビットレートの大幅向上を実現する。
※5 回転多重変調(Rotational-OFDM):変調シンボルをそのままOFDMの信号単位(サブキャリア)に割当てるのではなく、回転行列による変換操作の後にサブキャリアに割当てる伝送技術。反射物の多い広帯域伝搬環境での伝送特性安定化に有効。
※6 ツインターボ復号:振幅位相同時変調信号の復調処理と、誤り訂正用ターボ符号化信号の復号処理を融合させることで信号の誤り訂正能力を向上させる技術。
以上
●写真 基地局装置概観
●実証実験装置全体の構成図
(※ 関連資料を参照してください。)